2019年は交野ヶ原「たなばたルネッサンス」の一つの機所
破の段で議論しましたが、2019年は「たなばたルネッサンス」の一つの機所であります。
ここで、2019年に向けて、私たちがまず、行うべきは「たなばた」の再解釈ということから始めたいと思います。
「棚機」と「七夕」と「たなばた」
誤解を恐れずに、端的に説明すると、日本に「棚機(たなばた)」があって、中国から「乞巧奠(きこうでん)」と「七夕(しちせき)」がやってきて、そこが、お盆と合わさって、「七夕(たなばた)」となったということです。
「棚機」再解釈
京都の縁結び地主神社のホームページより引用いたします。
「棚機女(たなばたつめ)」と呼ばれたこの乙女は、川などの清らかな水辺にある機屋(はたや)にこもって神さまのために心をこめて着物を織る。そのときに使われたのが「棚機」(たなばた)という織り機だった。
つまり、七月七日とか、日取りはあんまり関係なかったのですね。ただ、重要なのは、神様が降りてこられる際に、お供えする衣服を織っていたという点ですね。秋の豊作を祈って行われていた神事であるというのも、押さえておかなければいけないことです。
「乞巧奠」再解釈
再度、京都の縁結びの神様、地主神社から引用いたします。
乞巧奠(きこうでん)は、織女星にあやかってはた織りや裁縫が上達するようにと、7月7日にお祈りをする中国の行事。庭先の祭壇に針などをそなえて、星に祈りを捧げる。やがてはた織りだけでなく芸事や書道などの上達も願うようになった。
不思議なことに、夏は日本と大陸とで同じような祈りを天に捧げていたようです。「Buddhaらに火を灯して夜空に翳そう Yo! そして天まで飛ばそう」
「七夕(しちせき)」再解釈
再度、京都の地主神社のホームページより引用します。
七夕にまつわる言い伝え。主に天の川に絡んだ物語が多い。日本の七夕伝説は中国の物語がもとになって伝わったものであるが、世界各地でもさまざまな七夕伝説が伝えられている。
どうやら、ここで天の川というキーワードが登場いたします。
そもそも、七月七日の夜ということが、「七夕(しちせき)」の語源といわれています。これに、日本が類似の神事であった、「棚機」の音を当てて、「七夕(たなばた)」されたのではないかと再解釈します。
さて、ここまでの再解釈をまとめると、どうも七夕の大事なキーワードは
- 「天に祈りを捧げる」(秋の豊作といった集団の願いや芸事の上達といった個人の願いなど)
- 「織物や裁縫が関わる」
- 「七月七日、夜空に輝く天の川」
という3点があげられるかと思います。
そして、一つ外せないのは、夏に天に祈りを捧げるとなると、現代でも帰省ラッシュで日本全国がお休みモードに入る、「お盆」でございます。
「盆」と「たなばた」の習合は神仏習合
以前、スターダスト河内の広報担当の方から聞いたお話ですが、百済王神社の秋季大祭で交野節を披露した際、「神社で盆踊りというのも不思議な感じがするな」と総代さんに話しかけられた時に、ハッとしたそうです。
なんでも、関西一円では神社でも盆踊りを行うことは頻繁にあるそうです。龍田大社、渋川神社などなど。
旧暦のたなばたの日付は、現在のお盆休み前後になります。つまり、旧暦であれば、盆とたなばたは時期的にもひと続きですし、天から降りてくる神様やご先祖様を迎えて祈りを捧げるという点でも、盆とたなばたの習合に象徴される「神仏習合」という点も再解釈の中には含める必要がありそうです。
そこで、再解釈のまとめ、4点をあげて、このQの章を閉めるとしましょう。
- 「天に祈りを捧げる」(秋の豊作といった集団の願いや芸事の上達といった個人の願いなど)
- 「織物や裁縫が関わる」
- 「七月七日、夜空に輝く天の川」
- 「盆とたなばたを通じた神仏習合」
次の章では、この再解釈を具体的な形にするための断片を集めていきたいと思います。